「最近よくもの忘れします、、、。」

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「最近よくもの忘れします、、、。」

「わたし最近、もの忘れがひどくて困ります。認知症になってきているんでしょうか?」という質問を外来でしばしば受けます。これはなかなか切実な質問ですが、もの忘れ(記憶障害)には「認知症で起こるもの忘れ」と「年齢に伴うもの忘れ」があります。上記のように質問されてこられる殆どの患者さんは「年齢相応のもの忘れ」で、心配のないものです。今回は二つのもの忘れの違いについて説明します。
なおこの原稿は、平成18年4月29日に平岡校区連合老人会総会で行った講演の内容に加筆したものです。

認知症には①アルツハイマー型 ②脳血管型 がありこの二つで8、9割を占めます。②は脳の動脈が詰まって脳細胞が傷害され、認知症症状が起こる病気ですが、もの忘れが認知症によるものかどうかが問題になる時には殆ど①のアルツハイマー型認知症かどうかが重要ですので、こちらのほうで説明します。

アルツハイマー型認知症でのもの忘れの特徴

以下のような特徴があれば、「これはアルツハイマー型認知症のもの忘れかもしれない」と考えられます。逆にこのような特徴がなければ、「年齢に伴うもの忘れ」と考えられます。

① 全体をすっかり忘れる
例えば「今日の朝は何を食べましたか?」という質問に対して、実際には食べてるのに「いえ、食べてません」と答える、一週間前に旅行に行ったことを忘れる、一ヶ月前に結婚式に出席したことを忘れる、というような、「自分が経験した出来事の全体がすっかり抜け落ちる」症状です。
これに対し、「年齢に伴うもの忘れ」では朝食の例で言うと、「食べたことは覚えているが、おかずが何だったかは思い出せない」というようなもので、自分が体験した出来事の一部を忘れるものです。その他、漢字が思い出せない、テレビに出ている俳優の名前が思い出せない、など知識や常識の一部が思い出せないことが特徴です。
② 徐々に進行する
アルツハイマー型認知症の場合は年々もの忘れが進んできます。またあとで述べるようなその他の症状も目立ってきます。それとは異なって何年たっても目だって症状が進行しなければ年齢に伴うもの忘れと言えるでしょう。このためアルツハイマー型認知症の初期かどうかについてはある時点では判断できず、数ヶ月から一年ぐらい経過をみることがあります。
③ もの忘れに対する自覚が少ない
認知症の方はもの忘れを指摘されても比較的あっけらかんとしているように見えます。通常の方ですと、「最近もの忘れがひどくなった。これは大変だ!大事なことはメモするようにしよう。」というように考えますが、認知症の方はこのように「もの忘れを何とかしなければ」という切迫感がなく、周りの人には深刻さが足りないように写ります。また自分がものを忘れたことを全く認めず、家族の責任にしたりする認知症の方もおられます。このように自分が病気であることを認められない病状を専門用語では「病態失認」と呼んでいます。これはあくまで病気の一つの症状ですから、認知症の方が自分のもの忘れを認めないからといって決して周囲の人が責めてはいけません。

その他、認知症の初期ではないかと疑われるのは以下の症状が見られる場合です。

① 日時の感覚が混乱してくる
何回も日時や曜日を尋ねる、いつも行っているお稽古事の曜日を何度も確認するなど。
② 性格の変化
些細なことですぐに怒るようになった、ちょっとしたことを注意するとかなり強い勢いで怒る、など。
③ 意欲の低下
これまでしていた趣味やお稽古ごとに興味がなくなった、一日中テレビを見たりウトウトしていることが多い、他人との付き合いをしなくなった、など。

大体以上のようなことが認知症のもの忘れと年齢に伴うもの忘れの区別する方法です。ただ典型的な症状が現れる場合は診断は難しくありませんが、もの忘れ症状があるだけの場合、これが認知症の非常に初期の症状なのか、それとも年齢に伴うもの忘れなのか区別しにくい場合も多いので医師の診察が必要です。

認知症はなぜ起こるのですか

アルツハイマー型認知症の原因は世界中で研究されていますが、現在解明されていることを簡単に言うと、「ある特殊なたんぱく質(アミロイドといいます)が脳の神経細胞に貯まってくる→神経細胞が障害される→脳が萎縮する」という経過が考えられています。しかしなぜアミロイドが貯まってくるのかという根本的な原因はまだわかっていません。
もう一方の認知症である脳血管型の方は、動脈硬化が原因で、脳の細い血管がいくつも詰まって小さな脳梗塞がたくさんできることから認知症症状が起こってくるものです。

認知症の予防法はありますか

アルツハイマー型に関しては、野菜や果物に含まれるビタミンEや、魚に含まれるEPAやDHAという脂肪酸を多く摂った方が、発症しにくいと言われています。また、運動したり活動量が多いほうが脳の萎縮が抑えられる、という研究もあります。脳血管型は動脈硬化が原因ですので、高血圧や糖尿病の管理が必要です。
いずれにしても野菜、果物、魚を食べて定期的に適度な運動をする、というどんな病気でも言われているごく当たり前のことが重要ということになります。

本原稿では以下の資料を参考にしました。
・JIM 2006年第4号 「典型的なアルツハイマー病の診断は難しくない」川畑信也
・日本医師会雑誌 平成17年 第134巻 第6号 「アルツハイマー病 ―最近の動向―」
・「痴呆症の診断」 河野和彦 
・CLINICIAN 「かかりつけ医のための認知症Q&A」2006年4月号
(平成18年5月)

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